198話

失せろッッ

バキ13歳のあの戦いから4年と10月。17歳となった少年は今、再び父と相対する
ポケットに手を突っ込んだままの父に対し、既に上半身裸で臨戦態勢の刃牙。なんか相手がやる気なさそうなのでここは挑発のセリフだ!
「俺達にとっちゃ擂台祭なんてどーでもいいことだろうよ。それともまさか・・・
本気で俺なんかにビビってんじゃないだろうな?」
ひい!なんて恐れ知らずボーイ!どうもバトリズムの「勇次郎誕生」を読んでからというもの、コイツが人間とは思えないんですけど
”強さ”だけで世の中を見てる唯我独尊男にこんなセリフを吐いた日にゃあ。いくら息子だとて田中さんのように折りたたまれますよ?
刃牙・・・・無理するな。足が震えてるぜ」
「え?」

おそらく意識はなかったのでしょうが。言われて目線を落とした刃牙は小刻みに震える自分の足を見て不思議そうな声を出した
直後!

ガシッ!!
むんずと片手で顔を掴まれた刃牙。そのまま凄まじいスピードで後ろの壁に叩きつけられてしまいます

「挑発するにせよ言葉を選べ。かりそめにも・・・・・
この俺が怖じ気づくなどと・・・・・!」

「〜〜〜〜〜ッッ!!」
ぐわー!やはり怒り頂点といった感じの親父様。今にも息子を食い殺してしまいそう
刃牙はと言えば今までの威勢はドコにいったのやら。頬を掴まれて苦しむそのザマはマヌケ坊やと言う他ありません
「三流拳法家に勝ったくらいで拳の底を見たかの如き言動・・・・青二才!
失せろッッ!!」

そのままメコったぁー!

壁はレンガ製。そりゃ勇次郎の膂力ならばこれくらいの芸当は屁でもありません
派手に壁をブチ破りながら屋外にコンニチハするマヌケな息子。控え室は建物の一番外側の部屋だったみたいですね
道行く人々に「大丈夫か兄ちゃん」などと心配されつつ起き上がる刃牙。今更ながらに父のデタラメな強さを再認識した模様




強い!









本当に強い・・・・・!





誇りたくなるほど!




”上には上がある”という言葉が・・・










あなたの前ではまるで空しい!




すかさず跳ね起きた刃牙、「負けねーぞコンニャロー!」って感じで猛ダッシュ。たった今ぶっ飛ばされたばかりの壁の穴に飛び込む!
戻ってきたぞクソ親父コンニャロー!
ゲゲェーッ!?しかし既に
部屋はもぬけのカラ!息子の弱さに興醒めしたのか姿をくらましてしまった親父でしたとさ
倒すべき相手に逃げられ、その場に呆然と立ち尽くす刃牙。憤らねばならぬハズなのに・・・・・・ハズなのにッッ!
「俺は・・・・・・・・
ホッとしているのか俺はッッ!!」













あのーすんません聞いていいですか板垣先生


この漫画はいつ終わりますか?
刃牙が勇次郎倒なきゃ終わらない漫画なのに・・・差がまったく縮まってませんなこの父子。プロットどうなってんのよ?
いやマジでさ。あと10年くらい連載続けるつもりじゃないだろうな?






で、場面は変わって烈先生の選手控え室。劉爺様はまだ手術中ですがとりあえず命に別状はないとの事です
もう何時間そうしていたのか

站椿(足腰の鍛錬。八極拳の馬歩弓式のように腰を落として耐える)を続けていた烈先生がバッと立ち上がった
「25年前―入門したその日に劉老師から最初に習ったのがこれだった
そのわたしが今・・・・・・

白林寺を背負う!


白林寺の名にかけて!烈海王、大擂台に立つ!
次週へ続く


199話

激突ッッ

「静かに登場しました孫海王。吉林省の出身です。そして名門白林寺から・・・お待たせしました!
今や中国武術会No1との呼び声も高い・・・・
そう!烈海王その人ですッ!!」
さあ一回戦も残すところあと2試合。大人気烈先生の第7試合に敵として登場するは孫海王です。なんかホモっぽい顔してるぜ
吉林省・節拳道。はたして如何なる拳法なのか・・・おやおや?なにやら十指に鉄製の指輪をはめてますよ?

「フフ・・・・指輪が気になるか?武器として使用されるのではないかと」
「かまわん」
烈先生は特に気にも留めていない様子ですが。孫はニヤリと笑うと両手を前に出し、拳を思いっきり握り締めます

ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ・・・!
ブチ ブチ ブチ・・・・

ほろり、と。鉄製の指輪はまるで粘土細工のように千切れて地面に落ちた。なるほど握力が武器の拳法か
「海王の認可を得て7年―初めて封印を解く。この指で拳を固め存分に打ち込むッ!」




フフン!どうだい僕の握力すごいだろ!と自慢気に語る孫。板垣の法則によりもはや負け決定
烈先生は目の前のパフォーマンスをどう受け取ったのか・・・なんと!自ら手を差し出し、孫とガッチリと組み合ったではないか
「握力で挑む気かッッ!」
場内騒然。ここで試合開始の銅鑼が響き渡る!
一回戦第七試合・烈海王VS孫海王開始!
こ、このやろー俺のことバカにしてんのか?ホモっぽい顔に困惑の冷や汗を流して孫海王が狼狽しています
「日本には・・・・・」
「!?」
「日本には花山薫という若きギャングがいる
重ねたトランプの一部を指で引き千切るという凄まじい握力の持ち主だが
フッ・・・・
この力では到底そんな芸当は無理だな」

烈先生の侮蔑の言葉に孫海王がキレた。怒りの鉄拳が飛ぶ。左手は組み合ってるので右拳を・・・・・って
メキメキメキィッ!!!
ガクン!と激痛に膝から崩れ落ちる孫海王。左手を凄まじい握力でねじ曲げられたのだ。自分の得意分野である握力で!
「どうした?これはキサマの領域だろう」

なんか烈先生ケンシロウみたいだ!
「〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
声にならない苦悶の叫びを上げて地面に突っ伏してしまう孫。烈先生はさも落胆したように耳元で呟く



「孫よ。海王の名を返上し・・・今一度站椿からやりなおせ












海王のレベルも









墜ちたものだ・・・








圧巻!これが真なる”海王”の実力だッッ!!!
出てくれば負けるだけの雑魚と化した”海王”の称号に一石を投じる烈先生の強さ!まさに中国拳法最高峰を背負うに相応しい戦士!
読者もいい加減海王の弱さに辟易していただけに「海王のレベルが落ちた」という烈先生の言葉は救いになりました。やっぱそうだよなー
そして次週、一回戦最終試合にいよいよ範海王見参!
ブタ海王相手に”地上最強の遺伝子”はどんな戦いを見せてくれるのか?刮目して待て!


200話

中国連合軍

前回、圧倒的な強さで勝利を飾った烈先生。残す一回戦の試合は範VS毛だけなのですが・・・・・あれれ?
なんか選手控え室に中国サイドの重要人物達が集まってるカットから冒頭が始まります。これは一体何事でしょう
メンバーは範、毛、たった今試合を終えたばかりの烈。中国武術省の権力者3人、そしてその中央に郭海皇の7人
どうやら郭の爺様が彼等を呼びつけたようです。話の内容はと言えば・・・・・それはもう決まってますね

「スマンの烈くん。試合を終えたばかりだというのに」
「いえ」
「何を感じたかね?試合をして何を思ったかね?」
「・・・・・・・・率直に言わせてもらうならば。少なからず落胆を」
「仮にも海王を名乗る者の実力が
”こんなものか”と」
「はい。仰るとおりです」
「一回戦7試合を終えて勝ち残った中国人は・・・私のキミのわずか2名のみ」


爺様の言う通り。一回戦ここまでの試合経過は以下のようになっています。ゲスト参加の外国人勢強し
対して中国の国手たる「海王」達の体たらくといったらありません。大体からして負け方が酷すぎます


○ 範馬勇次郎 VS × 劉 海王 顔面剥がされてハイキック
○ マホメドJr VS × 除 海王 カウンターパンチ1発KO
○ 範馬刃牙 VS × 李 海王 裏返ってボコボコ
× サムワン 海王 VS ○ 郭 海皇 金玉指弾き
○ ビスケット・オリバ VS × 楊 海王 頭から潰された
○ 寂 海王 VS × 陳 海王 関節極めから肩外し
× 孫 海王 VS ○ 烈 海王 延髄に手刀1発


「武術省の御三方、利き手を前に」
車椅子から立ち上がった爺様が武術省の3人に歩み寄る。何やら解らんけど言われるがままに手を前に出す3人
「ほ・・・キレイな手じゃ。まるで女子のような手じゃな」
ズビュッ!
言うなり爺様の腕が翻った。手の平には五寸釘のような長い針!一瞬のうちに3人の掌はひとまとめに串刺しにされてしまう
更に郭爺様は間髪入れずにその手刀を振り下ろした

「この不祥事を招いた元凶。キサマら武術省にこそある」

ジジイ3人絶叫。怒ってます郭海皇!なんと武術省のトップ3人の手首から下を斬り落としてしまいました
イヤしかし郭爺様の言う通り。コイツらが未熟者にホイホイ海王の称号を与えちゃうからこんなザマになるんです。自業自得
「聞きなさい。”海皇”の名を海外に出してはならぬ。断じて」
と、郭爺様がパンパンと手を鳴らす。それを合図にガチャリとドアを開けた2人の屈強そうな男・・・

彼等はいったい何者なのか?







「わしが120歳の時の子・・・春成と」

ジジイ絶倫すぎ。120歳で子作りかよ!海皇は夜も最強らしい


「親友のくんじゃ」

さ、さ、桜井章一!?
なんか物凄く麻雀が強そうです龍さん。一体どんな拳法の使い手なんでしょう



「この両名を加えて中国連合軍とする」
おおっと!?なんといきなり大会ルールを無視して助っ人を参戦させる郭爺様。いいんでしょうかコレは?
まったくワケがわからない毛は爺様に意見を申し立てる。無理もありません。唐突にこんなこと言われては混乱してしまいます
「お待ちを。私とこの範氏の試合はどうなるのですか?」
「試合とはどちらか1人でも欠ければ成立せぬもの。のう?」

スコン!
有無を言わせず毛の下昆に一本拳を打ち込む爺様。哀れブタ海王は白目をむいてその場に昏倒。コイツ一番扱い酷いな

「連合軍・・・・完成と」
「海皇」の名、そして中国武術のプライドを賭けた戦いが始まる!・・・って来週休載だゴルァ!


201話

心意気やよし

そんなワケで集められた外国人ゲスト4人&寂海王。烈先生から先週の経緯を聞かされます。話の無茶ぶりにもう勇次郎は大ウケ
「ククク・・・聞いたかよ。中国連合軍VS日米勝ち残り組?5対5マッチだってよ!
ハハハハハハハハ!こうまで魂胆が見え透いてるとよォ!
気の毒すぎてとてもツッコめねェよ!」

海皇の称号を外国人に獲られるのがイヤなもんで、急遽トーナメントを取りやめて団体戦を行おうという中国側の提案
そりゃ勇次郎じゃなくても
気の毒すぎてツッコめません。「恥も外聞もない」とはまさにこの事

「・・・・・本当にすまない」
穴があったら入りたい心境であろう烈先生。言葉短く謝罪するしかありません。笑い続ける勇次郎の代わりに寂海王が話を続けます
「君達の残りは4名だったハズだが。欠員はどうするのかね?」
「実は我がチームの毛がアクシデントのため欠場となった。そこへ新たな2名を加え5名を編成した」
「その2名の名前を聞かせてくれんか」


「郭 春成 と 龍 書文」

おおっ!?
なんと。両名の名前を聞いた途端に勇次郎と寂海王の表情が一変したではないか。やはりそのスジでは名の通った二人らしい

「”狂獣”春成と”凶人”書文かッッ!」
「なるほど・・・郭海皇が本気だということがよくワカった」

おーすごい。寂海王はともかく、地上最強の生物・オーガをも唸らせるほどの実力者だというのか。これは期待できそうだ
「無茶な申し出なのは承知している・・・・しかしどうか試合を受けて頂きたいッ」
「条件ハ?ワガママヲ通ス以上、何カプレゼントヲスルノガ礼儀ダゼ」
もっともなオリバさんの一言。圧倒的にこちらに不満のある申し出。受けてもらいたいならば何かしらの条件があって然るべきです
しばしの沈黙のあと、烈先生の口からゆっくりと出された条件。それは・・・・・・・








「我が中国連合軍の全勝を約束しよう」








は?ポカーンと口を開けるオリバさん等4人。その中で唯1人勇次郎だけがニヤリと笑う
「オイオイ。プレゼントノ意味ワカッテル?」
「ふん、いいぜ。5対5マッチ受けようじゃねェか」
「ノーノーユージロー。コレハフェアナ取リ引キヨ」

「黙ってなアンチェイン。ここはアメリカじゃねェんだ
最も困難な条件を恥知らずにも示した”心意気やよし”
・・・・・なんなら1対5マッチだっていいんだぜ?」

人を小馬鹿にした勇次郎の挑発。烈先生は何も言い返すことなくただ黙って睨み返す。ここに団体戦決定の運びとなりました




「ヒャッハッハッハ!愉快愉快!受けおったかあのマヌケ共!浅知恵よのォ」
中国連合側控え室に戻った烈先生を出迎えたのは、郭爺様の下品極まりない嘲笑でした
こちらが一方的に強引な申し出を押し付けて、それを広い心で承諾してもらったというのに。この老いぼれの態度ときたらどうだ
流石にカチンとくるものがあったらしく、烈先生は爺様に噛み付いた

「老師・・・我が拳の世界で最長老である貴方の権限は絶対です。しかし!
今のあなたは最低ですッッッ!!」

「えーよそれで」







かくして闘場に集いし10名!前代未聞の団体戦が始まるッ!
『中国武術界有史以来の危機ッ!誰も予測できなかった恐るべき部外者達の活躍ッ!
誇りを捨てたか中国拳技界ッ!断じて渡すな海皇の称号!緊急チームを編成だァ!』

『見栄も外聞もありません!勝てばいいのだッッ!!』

「生まれて初めてのチームプレイだぜ」
不適に笑う勇次郎。実際この人だけで勝てるからなー。次週いよいよ開戦ッッ!!!


202話

日米軍結成!

「海皇の称号を海外に出してはならぬ」日米勝ち残り組VS中国連合軍!未だかつてない超ド級の団体戦がついに開戦!
観客の視線集まる闘場中央に居並ぶは、いずれ劣らぬ猛者10名!各々が戦う相手と睨み合っています
その気になる組み合わせは・・・・・・


板垣マジックとでも言うべきか。先鋒戦から垂涎のカードッ!!
桜井章一はオリバさんと激突だァ!
一体どんな拳法の使い手なのかが知りませんが、まず無理だろ
しかしここでイキナリ龍が負けると全勝宣言がアホみたいになるしな・・・
勝つ可能性はゼロではないか?うーむ板垣先生の展開は読めないのー


そして郭爺様の息子・郭春成は勇次郎の息子・範馬刃牙との対戦!
奇しくも
次鋒戦と大将戦は父子同士の闘い!
ここはどう足掻いても刃牙の勝ち以外はない勝負。予想もクソもない
先鋒戦でオリバさんが勝利していると、日米軍はここで早くもリーチです
中堅戦から巻き返さないと3試合で終わってしまいますが・・・次の試合は
・・・・・・あぁ、なんとかなりそうですなこりゃ



中堅戦!少林寺拳法・寂海王は「ミスター蛮勇」烈先生とのガチンコ!
ここは中国側の白星が濃厚か。イヤ別に寂さんが弱いってわけじゃなくて
今の烈先生は
相当出来上がってる状態と思うので
ここで中国がひとつ星を戻して2−1。副将戦へと希望を繋ぐ、という流れか



副将戦はついにベールを脱ぐか範馬の血!範海王がマホメドJrと激突!
「世界中にバラまかれた俺の種・・・
ガキ供といい親友になりそうだぜ」
(168話)
世代を超えて再び相まみえた鬼VS神!ここを範海王が取って2−2だ!



そして勝負は決勝にもつれる!こんなもん言わずもがな結果は見えてます

爺様メッタクソにされて惨殺
とりあえず勇次郎に因縁つけた男がタダで済まされるはずがありません
下アゴをぶっ飛ばされた柳龍光くらいの目には逢わされるでしょう。確実に

爺様と対峙した勇次郎、なにやらおかしくて仕方のない様子。ニヤニヤと笑いながらこう語りかけます
「郭海皇よ・・・さきほど裏で俺にほざいた立派なお言葉・・・・そのままそっくりお返しするぜ

飢え・・・渇き・・・焦がれ・・・足りないものに満ち溢れている
それを抑えられぬ・・・・・イヤ・・・・抑えようともしない。弱い

「今のお前は足りぬものに満ち満ちている!
・・・・ブッ!
ブハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

「海皇」の称号を守るために、見栄も外聞も捨て恥知らずな団体戦を提案してきた老人
そこに勇次郎に立派な説教をした傑物の姿はなかった。そこに居るのは己が我を丸出しにして戦う、1人の雄である
ここで一旦選手退場。各チーム控え室に戻って最期のミーティングタイムです






「料理― 医療― 房中術(セックスの事)
こと人間の本能に根ざしたジャンルを追求させたなら 中国という国は生半可ではない」

日米側のブリーフィングルームでは勇次郎が4人の前に立って何やら演説中。団体行動など出来ない人かと思ってましたが
なかなかどうして4人をまとめ上げるリーダーの役割をキチンと果たしてますよ。こりゃビックリだ

「他国には想像もつかぬ思いもかけぬ発想で独自の境地に達する。そんな中国が
闘争本能という生物として避けては通れぬジャンルで、4千年のもの時をかけ積み上げて辿り着いた
それが”中国拳法”なるものの現在だッッ
そんな中国拳法がなりふりかまわず牙を剥いた。くっくっく・・・・・全勝だってよ」

黙って話を聞く4人。無論誰もが中国拳法の奥深さは理解はしている。そう簡単に勝てる相手ではない
くるりと刃牙に視線をやった勇次郎はニタリと笑いながら息子に聞いた

「刃牙よ。俺はそんな中国拳法の歴史を踏まえた上でなお、烈の全勝宣言許しちゃいねェ
ぶっちゃけた話・・・
その4000年とやらをコケにしてェ
俺に協力できるかい?」
父・勇次郎に対して強い反目を持つ息子・刃牙。この父のために協力するなど・・・それは刃牙の理念、イヤ人生そのものに反すること
だが刃牙は数秒の沈黙の後、非常に落ち着いた態度でこう答えた
「・・・・・俺はあなたが大嫌いだ
思想も。生き方も。顔も。全てがだ。
 ・・・ただ
現在の中国拳法に対する思い。
その一点だけはあなたと同じだ」


父の目を真っ直ぐに見据えた答え。フフン、と鼻を鳴らして息子の返事に満足する勇次郎。やはり根は父子です
そして”現在の中国拳法に対する思い”は他の3人も一緒。やってやろうじゃないか4千年!俺達がぶっ潰してやるぜ!




各人各様の思いを胸に秘め


今ここに―

チーム結成!!!
次号へ続く!


203話

生涯無敗

「えらいことになりましたな」
「エライコト・・・・ッテ?」
日米連合軍控え室。先陣を切って戦うオリバさんとなにやら話し込んでいるのは・・・おっと。なんと寂海王です
「龍書文。いったい彼が如何なる人物なのか知らぬワケではないでしょう」
「台湾出身45歳。9歳で師・文四海に出会い、武の一歩を踏み出す
15〜19歳まで台湾擂台賽にて連続優勝。その腕を買われ黒社会より破格の厚遇で迎えられる
・・・・・・と。ここまでは正しいかね?」
「ではその後のこともご存知で」
ペラペラと書文のプロフィールを語ってみせたオリバさん。凄いね。この人の知識バンクはどうなってるんでしょ
寂海王の危惧する「その後」とはいったいどんな代物なのか。オリバさんはなお表情を変えずに言葉を続けます




「黒社会の組織間で行われる闇試合。ルールはお決まりの「ルール無し」
決着は概ね片方の重症かを以って終了とす
その舞台に龍書文は降り立った―――
25年間無敗
いや違うな。15歳からの擂台賽も含めると
約30年・・・・要するに」
「生涯無敗」
「オウ。ソレだ」

ビッ!と寂海王を指差し、にんまり笑うオリバさん。っていうか書文ホントに桜井章一だよ!
ここまで似てるとモデルにしたのは間違いぽ。そうか板垣先生も麻雀好きなのか・・・さぞかし無茶な麻雀打ちそうだ
そんな恐るべき男を相手にしても試合前の笑みを絶やさないオリバさん。寂海王は「参った」という風に苦笑して肩をすくめた
「余計なお世話だった。わたしから伝えることは何もないようだ
ご武運お祈り申します アン・チェイン」
アンチェインって・・・オイオイ。寂さんにも「アンタ何者だよ」と突っ込みたい。クリーンな武術家にしては裏事情に詳しすぎるぞ
寂さんの応援を背中に受けて闘場に向かうオリバさん。その通路で彼を待っていた人物は範馬勇次郎であった




「龍書文のニックネーム。無論知っているだろうな?」
「・・・・・・・モチロン」

「Mr不可拘束」
ミ  ス  タ  ー  ア  ン  チ  ェ  イ  ン

「どっちがホンモノなんだい」
なんだって―――――!!!
二人のアン・チェイン縛られぬモノ!!うおおおお!
こ、これは燃えるシチュエーションぜ板垣先生!「私以外の自由は許さん!」我等のオリバさんが黙っているものか!
「行ってブチのめしてこい!」ニタッと笑って背中を叩く勇次郎。薄暗い通路を抜けたオリバさんの眼前に広がる眩い光

会場のボルテージは既にピークに達し、割れんばかりの大歓声!アナウンサーのよく通る声が響き渡る
「出たぞ怪力無双!!ビスケット・オリバァーッ!」
オオオオオオオオオオオオオ!!
対するは生涯無敗の凶人・龍書文!座禅を組んで閉じていた瞳がゆっくりと開かれる
バッ!なんと座禅を組んだままの姿勢でジャンプした書文!お前はツェペリさんか!
ふわりと闘場の地を踏みしめ、オリバさんと対峙!Mrアンチェイン両雄並び立つッ!

打ち鳴らされた銅鑼の音は超ド級バトル開始の合図ッ!生きるか死ぬか!?
次号!二人の「アンチェイン」が火花を散らす!って
来週休載だよコノヤロォ―!!


204話

闇拳法

「怪力無双・・・!トランクス一枚になるとまた凄いな。胸がまるでケツだ
腕が頭よりデカイ・・・・だいだいあの身体に技が通用するのか?」

ついに始まった”アンチェイン”同士の超絶バトル。Tシャツを脱ぎ捨てたオリバさんのスーパーマッチョボディに観客席は騒然です
対する龍はポケットに両手を突っ込んだまま仁王立ち。構えない・・・・というより、そっぽを向いて視線さえ合わせていません
まるで「眼前に敵など居ない」とでも言っているかのように
ざっざっと無造作に歩を進めるオリバさん。次第に間合は詰まっていくが龍の態度は変わらず。流石に客席からもざわめきが!
そして間合ッ!オリバさんがその豪腕をぶうんと振り上げた!龍はまだ動かない!

”ドカンッ!!!”
闘場が揺れる。まさに鋼鉄のハンマーの如き破壊力で振り下ろされたオリバさんの鉄拳!
「龍の死亡」という最悪の結末すら予感させる衝撃。だがしかし!次の瞬間観客達が目にした光景は想像を上回るモノだった
龍は無傷!なんとポケットから出した
左腕一本でオリバさんのハンマーパンチを受け止めていたのだ!

よく見ればなんとコンクリートの足場が陥没!およそ想像するに難くないバカげた破壊力である
それを左腕一本で受け止めた龍の技量たるや底知れない。ただ普通に受け止めたのなら腕がグシャグシャに砕けるハズだ
まさに恐るべき強さの両者!しかも龍はまだ片手をポケットから出していない!
”バオッ!”
すかさずラリアット気味の左フックを放つオリバさん!龍、ここで初めて動く!
「プッ!」
「!」
強烈に息を吹きかけることによる目潰し!地下トーナメントで烈先生が克己にやったヤツだ。そしてフックを軽々避けて・・・
いつのまにかポケットから抜かれている両手!
間合をとったオリバさんにがニヤリと笑う。その脇腹からポタポタと滴り落ちる鮮血!
今の一瞬で龍はフックをかわし、尚且つオリバさんの鋼鉄の腹筋を貫いて手傷を負わせたのだ

「弾丸デモ通サネェンダケドナ・・・ナイフ・・・カ?」











「貫き手」

「どうという事はない」といった感じの龍。シコルスキーの切り裂き一本拳でも傷つけられなかったオリバさんの鋼鉄ボディ
傷つけられたのは肉体よりもむしろ、自尊心のほうであったか。今まで見たこともない憤怒の形相で打って出るオリバさん
龍はこれを受けて
再び両手をポケットに突っ込む!オリバさんを舐めきっているのか!?
身を低くかがめて飛び込み、オリバさんの軸足を上から潰すつま先キック!

そのまま真下から突き上げる端脚ゥ!なんという蹴り上げ角度!
シコルスキーのキックを食らっても”ぶっとい首”でほぼノーダメージだったオリバさん。目をブレさせて苦悶の表情を!
そして巨体を蹴り一発でラクラク吹き飛ばした龍は、再び両手をポケットの中に。それを見た勇次郎が興味深げに漏らす
「ほう・・・・・居合いか」
おおなるほど龍の拳法はそういう拳だったのか?つまりポケットに手を突っ込んでいたのは相手を舐めてたんじゃなくて・・・
その状態が構え!ノーモーションの居合い拳!
驚愕の拳風で開戦のアドバンテージを取った龍。苦戦必至のオリバさん。続きが気になる次号へ続く!


205話

居合

ついに明らかにされた龍書文の拳。それは両手をポケットに突っ込んだ状態から放たれる居合い拳法であった
驚愕にどよめく観客席。その下、日米連合軍側闘場袖でも試合を並んで観戦している男が2人―
範馬刃牙。そして父、範馬勇次郎
押し黙っているままの息子に対し、父親は目を合わせることなく言葉を紡ぐ
「珍しいな。こうして俺とお前が同じ方向を見て並んで立つなど―」

何年振りのことだ・・・・・

父はその部分を口には出さず、心に秘めただけだったが。 きっと息子にも聞こえていたに違いない
うーむ実に良いシーンだはんぺらさん感動・・・・・って言うかスゲー意外だったな。この人
父子の感傷に浸るような精神持ち合わせてんのかよ
つーか勇次郎身長デカいんですけど。刃牙が167cm。親父コレ多分200cm越えてますよ板垣先生?
「試合場でも・・・珍しいことが起こってるね」
「居合だ」




ゴォッ!
アドバンテージを取られて激昂したオリバさん、額に血管を浮かべながら大砲のような右ストレートを繰り出す!
ヒットすれば胸を陥没させて一撃KOであろうが、なにせ相手は生涯無敗のアンチェイン
瞬時に間合を詰めた龍の左手が一閃。同時に脚払い。体勢が崩れたところへ右の平拳!
耳に叩き込む!

右の耳から突き抜ける衝撃!鼓膜破壊!
そして龍はここから不用意にたたみかけることもなく、再び両手をポケットに戻す。流石に生涯無敗の男!
黙って試合を眺めていた勇次郎が、刃牙に居合拳の解説を始めました

「両手を構える体勢と比べていかにも不利に見えるがこれが曲モノだ
あの一見無造作な立ち方に・・・・
抜刀の瞬間にこそ最速が完成する居合
それ同様の―静止した姿にこそ勢いが秘められている」

「文字通り姿勢」
「その通りだ。学べ刃牙」

目の前の居合拳を我が物とせよ。父は息子にそう言う
息子は暫しの沈黙のあと、父に言葉を返した

「それが・・・自分に向けられる技であっても、かい?」
「上手に料理するんだ。美味けりゃ喰ってやる」
息子の言葉に一瞬眉を八の字した父は、次の瞬間には笑ってこう応えた




「失敗だったぜ。鼓膜にもウェイトトレーニングをさせとくんだった」
鼓膜を破られたオリバさんですがそこはそれ、規格外のスーパーマン。大した痛みも感じていないのか、へらず口を叩いて笑ってます
これにはちょっとだけビックリしたのか、ずっとそっぽを向いたまま戦っていた龍が初めてオリバさんを正面から見据えました
「やっとこっちを見たようだな」
な・・・・・・・なにィ―――ッ!?

オリバさんもハンドポケットだぁ!
これはビックリです。何がビックリって龍のヒゲ描き忘れてるよ板垣センセ!(どこを見てる俺)
「な〜んか。こっちのほうが調子いいぜ」
オリバさん掟破りの居合拳か!?続きが気になる次号へ続く


206話

神秘

「オリバまでハンドポケットッ・・・!」
「面白いッ!龍がおちょくられてるぞッ!」
「怒れ龍ッ!」

ワアアアアアアアアアアアア!!!
オリバさんのパフォーマンスに沸きあがる場内。しかしながら闘場袖の範馬父子はこれを観るなり渋い顔。何かマズイのでしょうか
「いいねェ〜ハンドポケット。気に入ったよ。最初からこうするんだったぜ」
ニタニタ笑うオリバさんの態度がカンに触ったのか、龍はポケットに突っ込んでいた両手をおもむろに抜きました
これをみたオリバさんは「こりゃ傑作だ」とでも言うように、ますます調子に乗って毒づきます
「オヤオヤ・・・相手が自分の真似たので自分はやめる。意外とみみっちいと言うか・・・」
”ベシィッ”

喋ってる途中にいきなり殴られました。なんかオリバさんすげーマヌケだ!
それにしても驚くべきは龍の攻撃の速さ。たった今まで2人の距離は数mは離れていた。まさに神速の踏み込み&拳!
「何故抜かぬ?反撃はできぬまでもポケットから抜くことくらいはできるだろう」
「何してんのお前?遅すぎなんだよ」てな感じで小馬鹿にする龍。一方オリバさんは何をされたのかもワカらず呆け顔です
「速すぎたのかな?ならば」
ゴス
あからさまなスローモーパンチを顔面に叩き込む龍。まだ呆けているオリバさんはこれもマトモに食らってしまいました
ビキニパンツに突っ込んでいた両手が自然に外へ。龍は歩を詰め、超至近距離で更に挑発の言葉を続けます
「どうした?抜いたら反撃だろう。さァ打ってみろ
この距離なら腹を打つもよし。金的を蹴り上げるもよし」

「一瞬でカタがつくだろう」




「世話ねェぜ。Mrアンチェインが縛られてやがる」
勇次郎舌打ち。範馬父子の目から見ても完全にオリバさんが呑まれています。恐るべし龍の実力!
当然これだけコケにされて黙っているオリバさんではありません。そのムキムキの筋肉を怒りで更に隆起させて応える
「やらせてもらうぜ遠慮なく」
ぐぐぐぐっ!と両腕を頭上に掲げてダブルハンマーパンチの体勢。これを思い切り振り下ろすつもりのようですが・・・・
そんな子供の喧嘩みたいな攻撃が果たして龍に当たるのか?どう考えてもマヌケな攻撃に見えるんですけどオリバさん
「俺は体験主義者なんだ。アメリカ人だからな
ポケットに手を入れたままでも先に当てちまう。そんな神秘は・・・

信じねェ!」

ブン!

やはりというか何というか。オリバさん渾身のダブルハンマーを余裕で回避する龍!
同時に抜いた右の居合い!掌打でオリバさんの顔面を撃つ!

”ザクッ”
目潰しを食らってひるんだその隙。放たれた龍の左手が吸い込まれるように喉元に突き刺さった
シコルスキーの蹴りを受けても、刃牙のアッパーを受けても微動だにしなかったその巨体がグラリと揺れる
「チッ アホウが」
ドォオッ
圧倒的実力差の前に沈むオリバさん。果たしてここから奇跡の逆転はあるのか?次号へ続く!


207話

ハンドポケッ

まさに圧倒的と呼ぶに相応しい龍の実力。オリバさんはまったく手も足も出ずにダウンを喫してしまいました
会場の中国人観客はヤンヤヤンヤの大喝采。勇次郎が怒ってんだか笑ってんだかワカらない顔で吐き捨てます
「アホウが。武術を嘗めるからだッ」
「ワカんないな居合拳法・・・・ハンドポケットの不利がありながらまったく出遅れない」
「だから”術”なのだ」

居合拳の不思議が見抜けない刃牙に、なんと勇次郎その理屈を優しくレクチャーし始めました。良いお父さんだ!

「一見無防備に立つあの無造作な姿。あの姿が既に構えなのだ
”抜拳してから”攻撃を加えるのではない
手の位置はそのままに
”腰を切る”ことで抜拳を完成させる」

故に相手からは抜く動作が見えぬ
体勢は十分。拳の加速は既にポケットの中で終了している
敵が構えた状態からスタートしても決して出遅れない。少なくとも五分
ならば拳法家の龍に速さでかなうハズがない」

だ、そうです。なんかよくワカりませんがとにかく龍の技量がスゴイってことだけはワカりますな




そんなワケでカメラは闘場に戻ります。ぶっ倒れたオリバさんにトドメを刺そうとした龍でしたがおっとビックリ!
なんとオリバさんが元気いっぱいに跳ね起きました。喉のダメージは残っていないようで、相変わらずニタニタ笑ってます
「ナルホドね・・・・ポケットから手を抜いているのではない
”手からポケットを抜いている”
道理で見えぬハズだ。かなわぬハズだ」

龍の力を認めつつも、あくまでドコか小馬鹿にしたような挑発的な語り口。ハッと何かを危惧した勇次郎が大声で叫ぶ
「競うな!持ち味を活かせッッ!」
オリバさんとは旧知の仲である勇次郎、その性格は当然知っていた。「コイツは絶対敵の土俵で張り合う!」

そして危惧通り

オリバさんは再びビキニパンツにその両手を突っ込んだ
「さァ。おっ始めようゼ」
再びハンドポケット真似っこッ!!
勇次郎、怒って髪逆立ってます。そして龍も2度に渡る挑発を食らい、流石に堪忍袋の緒が切れた様子
一瞬にて間合を詰めると、猛然と居合拳ラッシュを叩き込む!その様はさながら両手の見えないマシンガンパンチ!

・・・・・・・・・・だが!オリバさんの笑いは消えない!

「へっ。慌しいことだゼ・・・・ポケットから抜く手も見せぬなんて

こうして・・・・・ゆっくり・・・・・・・

優雅に抜くのが・・・・・

ダブルハンマー!!!
なにやってんだ龍!攻撃に夢中になりすぎたのか、さっきは余裕で回避した攻撃を直撃!
なんせオリバさんの打撃は一発当たればどんな敵も吹っ飛ぶ大砲です。こんな食らい方したらアンタ・・・・・

「スマートってものさ」

ホレ見ろ死んだ!つーかこれで終わりかよ!?
まだアナウンサーの「勝負ありッ」が出てないので断言は出来ませんが。両肩粉砕骨折してるだろうしな・・・
続きがスゲー気になるところですがタイミング悪く
次号休載。なんだよチクショウこの流れは・・・
板垣センセ!
餓狼伝BOY落としていいからバキ毎週描いてくれよ!頼むよ!


208話

スマート

大逆転のダブルハンマーが炸裂!攻勢だった龍、たった一発で地面に倒れ伏してしまいました。恐るべきはオリバさんの膂力
まさかまさかの逆転劇に客席も大騒ぎ。なにせ観客のほとんどは自身も拳法家ですので、色々と思うところがあるのでしょう
「オリバが意地を見せたッ!龍が抜拳術でやぶれたッッ!」
「バカを言うな!あんなもの術と言えるか!技と呼べるか!」
「倒しちまえば技術もなにもないだろうがッ!」

真っ二つに割れる客席の評価。武台袖の範馬父子はというと、目を真ん丸くし、アホみたいに口を開いてしきりに感心してます
「持ち味・・・イカしやがったなァ〜」
「・・・・・・・」

なんか勇次郎が
普通のオッサンみたいで非常に好感が持てます
で、ズギャッ!といきなり起き上がる龍。両肩にオリバさんの鉄拳を受けたというのによくも立つ。こちらも相当のタフガイだ
目の前の筋肉ダルマを睨みつけ、再びその両手をズボンのポケットへと差し込んだ。同時にどっと沸きあがる大歓声!!

「出たぞハンドポケット対決ッ!
目には目ッッ!歯には歯ッッ!」

「ポケットにはポケットだ〜〜〜ッッッ!!」

オオオオオオオオオオオオオオ!!



「お前さんの抜拳術と―俺の抜拳術。そろそろ決着・・・」
大歓声の中、ゆっくりと優雅にパンツから手を抜こうとするオリバさん。再び決めてやるぜダブルハンマー!
って
瞬間。いきなり首筋に突き刺さる龍の右貫手!そのスピードはまさに神速!
一瞬動きの止まったオリバさんの頭がスカン!と跳ね上がる。
左手のアッパー!すぐさまポケットに戻る両手!
と、オリバさんの全身がピーンと伸びて、今までに見たこともないような苦悶の表情。
金的蹴りだ!
そしてフワリと跳躍すると、ガラ空きの顎めがけて華麗な二連脚を叩き込んだ。龍の猛攻は一向に止まらない!
まさに滅多打ち!だがッ!

オリバさんは亀になってガードしようとはせず。熊のように構えたままで、その嵐のような散打を全身に受け続ける!
そして”ぐわっ!”と伸びるその両腕が見事龍の頭を捕まえた!

「だから言っただろ・・・・お前さんは少し・・・・」

頭突きィッ!!!

”スマートさが足りない”って

派手に鼻血を待ち散らして視界を紅く染める龍。これで勝負あったか?はたまた来週、龍の反撃があるのか?
アンチェイン対決クライマックスの次号へ続くッ!


心涼しきは・・・

あまりの衝撃に静まり返る観客席。なんてったって全身筋肉のバネのようなオリバさんが放った渾身の頭突きです
顔面に”当たる”というよりは、まさしく”突き刺さる”が如きその破壊力。龍の顔面から噴水のように飛び散る大量の鼻血
「ケッ オリバの顔面突きかよ。想像したくもねェな」
あの勇次郎をもってして、こんな台詞が出るほどの頭突き。いかほどの威力かが読者にビンビン伝わってきます
しかし。武術家としての意地か生涯無敗のアンチェインとしての意地か。龍は悲鳴を上げることもなく静かに笑ってみせる
「ははは・・・・
心・・・・・
涼・・・しき・・は・・・
無敵・・・・・なり!

なにをー!ここでこんな台詞が出てくるとは板垣先生も味な演出をしてくれる!!
やっぱり桜井章一がモデルだったのかー!
えー、この「今週のバキ」で何度もはんぺらさんが「龍のモデルに違いない」と言っていた桜井章一会長
今更になりますがワカらん人のために紹介しておきますと、
20年間無敗で「ジュクの雀鬼」と呼ばれた元・麻雀の裏プロの方です
漫画やビデオ等、映像作品が多数存在しますので興味のある人は是非見てみましょう。っていうか近代麻雀読みましょう
麻雀の世界では生ける伝説となっている人物で、大学の講義等でゲストに呼ばれたりすることもある著名人です
長い間ヤクザの世界で斬った張ったの勝負を生きてきた桜井氏は当然その人生経験深く、数多くの名言を残しておられます

心温かきは万能なり
も、その一つ。ここで「龍が使った心涼しきは無敵なり」は間違いなくこの名言をリスペクトしたものと思われます
「生涯無敗」という事でヒクソン・グレイシーと対談したこともある人なので、なるほど考えてみれば板垣先生が興味を持つのもおかしくないな
と。非常に簡単ではありますが桜井章一雀鬼会会長の紹介でありました





さて場面戻って。「心涼しきは・・・」の言葉とともに放たれた龍の反撃。必殺の貫手がオリバさんの腹部に・・・・!?
”ベキィッ”
龍驚愕。自慢の貫手はオリバさんの腹をえぐることなく、その硬い腹筋に阻まれグシャリと砕けてしまったではないか!
「無理だな。お前さんがこの貫手を身につけるためにどれほど指を鍛えたのかは知らんが
俺がリアルで腹筋を固めた時には諦めたほうがいい
お前さんが想像を絶するトレーニングをしたように。
俺は俺で色々やってるのさ」

ここでオリバさんのトレーニングのフラッシュバックが映るのですが
鎖で地面に身体を固定したオリバさんが、
飛び立とうとする軍用大型ヘリをワイヤーで引っ張って引き止めている

というトンでもな場面が出てマーベラス。こうやって鍛えた腹筋ならばなるほど。散弾銃さえ通さないのも頷けます

グチャアッ!!
そして間髪入れず2発目の頭突きィッ!!
もう龍の顔面は原型と留めぬほどに変形。そのあまりの凄惨さに観客達も思わず顔を背けます
だがしかし。
生涯無敗”アンチェイン”龍書文!決して敵に屈したりはしない!
「華ァッッ!!」

粉砕骨折した両の拳でもってひたすらに攻撃を仕掛ける。例えその手に攻撃力が残っていなくとも!
それこそが武術家!いかなる時においても心は涼しくあれ!

ゴッ!!

それを受けてオリバさんの応えは無言の3発目!
ずるり・・・と力なく足が折れ、龍書文はここでようやくその動きを止めた
ゴワァアアアアアアアアアアアアアアン!!
アンチェイン対決ついに決着!
響き渡る銅鑼の音が勝者ビスケット・オリバを讃える。が・・・オリバさんは龍の往生姿に苦い顔

「フン・・・・・まだやっていやがる



















ハンドポケット」

「最後の最後まで
スマートな野郎だぜ・・・」


敗れて尚生き様を見せた龍書文!アンチェイン(縛られない者)の二つ名は偽りにあらず!
次号へ続く!


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